ただじっと座っていると、どうしようもなく急に走り出したくなる気持ちに駆られることがある。
心が踊るような事だけ、経験したいと思ってしまうけれど。
やっぱり、絶望も闇もきっと欲しくなってしまうのだ。
通過儀礼として、必要不可欠な感情なのだ。
夜空に大人しく佇んでいるだけの存在から、地上に堕ちてありとあらゆる経験をする。
経験する事だけが、目的なのだ。
答えはきっとその先にあるのだろう。
その為に走り出すのだ。
海星の裏面をこんなにも観察したのは初めてだった。
この作品が出来るまでの経緯
私は何のために生きているのか。
その思うときはいつも、海星のことを思い出す。
生態系の中でも、何となく独特なポジションに位置する、彼ら。
他の海の生き物と違って、人間の食料とはならない、彼ら。
けれど、海の中で遭遇するととても嬉しい。
空から地球に堕ちてきた星が、夜空と同じ色をした海底で一休みしているような。
広大な宇宙空間で、遠くに光る小さな宝物を見つけた時に似ている。
私も海星のような存在でありたい。
あまり、大したことはできないけれど。
最初に、心音が形作られて、その後、心臓が形成される。 そんな話を聞いたことがある。
たとえちぎれても、また形作られる。